短期間で目に見える結果が出やすい、糖質制限ダイエット。中には、ご飯やパンなどの炭水化物をいっさい摂らないという人もいます。
しかし、極端な糖質制限ダイエットを続けると、抜け毛や肌荒れといった弊害が出てくる可能性があります。
確かに,糖質の摂り過ぎはよくないが・・・
もちろん、糖質を摂り過ぎることは、体にとってよくありません。糖質は肝臓でブドウ糖に変換されますが、ブドウ糖が増えすぎると肝臓で取り込めず、体脂肪として貯まってゆきます。
また、糖質の多い食事を摂ると、血糖値が急激に上がります(⤴)。正常であればすい臓からインスリンが分泌され、血糖値を一定の値に保とうとします。
しかし、糖質を摂り過ぎると慢性的に血糖値が高い状態 (=「食後高血糖」) がつづき、糖尿病や動脈硬化などのリスクが高まってしまうのです。
糖質制限ダイエットをすると,はげる?抜け毛が増える理由とは?
しかし、糖質にもちゃんと役割があります。改めて、三大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質)のはたらきを確認しましょう。
- 炭水化物(糖質+食物繊維)・・・カラダや脳を動かす、効率のよいエネルギー源となる。
- たんぱく質・・・内臓や筋肉、爪、髪の毛、歯、肌細胞などを構成する成分。酵素や免疫細胞のもとになる。
- 脂質・・・細胞膜やホルモンの構成成分となる。ビタミンを運搬し、体温をたもち、肌にうるおいを与える
炭水化物は、カラダや脳を動かす、もっとも効率のよい“燃料”です。
人間のカラダを車に例えるなら、炭水化物は優秀なガソリン。炭水化物をまったく摂らなければ、燃料不足でガス欠になってしまいます。このままでは脳やカラダを動かせません。
このときカラダは、筋肉を分解して、たんぱく質を“代わりの燃料”にします。
また、糖質制限によって筋肉量が減ってゆけば、「基礎代謝」が落ちてゆきます。基礎代謝量が減ると体温を維持しにくくなり、熱を逃がさないようにするため、脂肪がつきやすくなります。
つまり、長期的に見れば、痩せにくい体質になってしまうのです。
脂肪がつかないようにするには、基礎代謝量が必要
⇨ 基礎代謝を上げるには、筋肉が必要
⇨ 脳やカラダを動かすエネルギー源となる糖質が不足すると、筋肉が分解されてしまう
⇨ 筋肉量を減らさないためにも、ある程度の糖質は必要
消費者庁が2020年に出した「栄養素等表示基準値の改定に関する調査事業 報告書」によると、1日あたりの炭水化物の目安となる摂取量は320gとされています。
お茶碗1杯のご飯(150g)のうち、炭水化物は57g。仮に3食ご飯を食べたとしても、気にするほどの量ではないことになります。
糖質をエネルギーに変換するには、ビタミンB1が必要です。
豚肉・赤身魚・雑穀・ごま・ほうれん草など、ビタミンB1を含む食品とご飯を一緒に摂れば、効率よく脳やカラダを動かすエネルギーを得られることになります。