炭水化物、糖質、糖類。
ふだん何気なく使っているこれらの言葉の違いをご存知でしょうか?
辞書に載っている言葉の定義と、栄養面で分類するときの定義は、異なる場合があります。消費者庁が出した栄養表示基準によれば、「炭水化物」「糖質」「糖類」の三者は明確に違いが示されています。
炭水化物 = 糖質 + 食物繊維
「炭水化物」とは化学的には、炭素と水素の化合物という意味です。
栄養学上はまた別の定義があり、「糖質」と「食物繊維」をひっくるめた総称を、「炭水化物」と呼んでいます。スーパーで売られている食品に表示されている“炭水化物”とは、「糖質+食物繊維」のことを指します。
- 糖質とは、体内で吸収されたあと、人間活動のエネルギー源となる栄養素のこと。砂糖のみならず、パンやご飯に含まれるデンプンも糖質の一種です。
- 食物繊維とは、人間の消化酵素で分解されにくい成分のこと。ひと昔前は、“役に立たないもの”だと思われていました。しかし近年では、栄養素の吸収を助けたり、血糖値の上昇を抑えたりする役割があるとして見直されています。
糖質の分類
糖質は、辞書には“糖分を含む物質”と載っています。
栄養学上は、分子構造によってさらに、単糖類・二糖類・小糖類・多糖類などにこまかく分類されます。
① このうち、これ以上加水分解されない糖類の最小単位を単糖類と呼びます。グルコース(ブドウ糖)やフルクトース(果糖)は、単糖類の一種です。
② また、単糖類の2分子が結合して、1分子となった糖類のことを二糖類と呼びます。砂糖の主成分であるショ糖は、二糖類の仲間です。
そして、単糖類と二糖類をまとめて、糖類と呼びます。
③ 単糖類が、3~10個ぐらい結合した糖類をまとめて小糖類といいます。結合する単糖の数によって、三糖類、四糖類…と使い分けます。
※ギリシャ語で“少ない”を意味する“オリゴス”という言葉から、一般的には三糖類以上の小糖類を、とくに「オリゴ糖」と呼びます。
④ 単糖がたくさん連なったできたものを、多糖類と呼びます。糖のつながりが長くなると、食べたときに単糖まで分解されにくくなります。
⑤ 人工甘味料の一種で、砂糖とアルコールを合わせたような栄養素を、糖アルコールと呼びます。
- ガムなどに使われるキシリトール
- メロンやぶどうなどの果実、味噌や清酒などの発酵食品に含まれるエリトリトール
- リンゴや海藻類に含まれるソルビトール
糖アルコールは人工的に作った甘味料ですが、もともと自然界にある成分で、低カロリーで虫歯になりにくい成分です。
⑥ 甘味料としては、糖アルコール以外にもマテ茶などに使われるステビア、アメやゼリーなどに使われるアスパルテームなどがあります。
炭水化物>糖質>糖類
炭水化物、糖質、糖類を栄養学上で分類すると、以下のような表となります。
炭水化物 | 糖質 | 糖類 | 単糖類 | ブドウ糖、果糖など |
二糖類 | 砂糖、乳糖など | |||
小糖類 | ビートオリゴ糖、大豆オリゴ糖など | |||
多糖類 | デンプンなど | |||
糖アルコール | キシリトール、ソルビトールなど | |||
その他 | アスパルテーム、ステビアなど | |||
食物繊維 | セルロース、ペクチンなど |