レモン1個ぶんの果汁が凝縮された、キレートレモン。ビタミンCがたくさん入っていて、お肌に良さそうです。では、キレートレモンやデカビタCのようなレモン飲料を毎日飲んだら、ニキビは治るのでしょうか?
キレートレモンの成分と栄養素
キレートレモンのレギュラータイプ、びん1本(155ml)あたりの栄養成分は次の通りです。
栄養成分表示(155mlあたり) | |
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エネルギー | 105.4cal |
タンパク質 | 0g |
脂質 | 0g |
炭水化物 | 26.6g |
食塩相当量 | 0.23g |
ビタミンC | 1350mg |
クエン酸 | 1350mg |
※公式ページには、100mlあたりの栄養成分が記載されていますので、すべて1本(155ml)あたりの数値に計算しなおしています。
2015年に発表された『食事摂取基準』によれば、成人にとって1日に必要なビタミンCの量は100mgです。それを考えると、キレートレモンの1350mgは13倍以上の量だということになります。
ものすごい量です。だけど、多くの人は誤解しています。ビタミンCは多く摂ればよいものではありません。
1.ビタミンCは一度に大量にとっても意味がない!
飲食から摂るビタミンCは、1日に200mgまでは90%体内に吸収されます。しかし、それ以上摂っても吸収されにくくなります。1000mg摂った場合は、その吸収率は50%にまで下がります。
しかも、ビタミンCはおよそ2~3時間で、尿として体外へ排出さされます。つまり、一度に大量に摂っても、カラダはすべて吸収できるわけではないのです。
2.市販のジュースに含まれるビタミンCに、栄養価はほぼない
実は、ビタミンCはとてもデリケートな成分。熱に弱く、水に溶けやすく、光にも弱い性質を持っています。
ビタミンCがたっぷり入った緑黄色野菜を調理する際は、さっと洗い、短時間で炒めることが推奨されます。水洗いするだけでビタミンCは流れてしまい、加熱してもビタミンCは失われてしまうからです。
市販のジュースは、安全のために加熱処理されています。デリケートなビタミンCは、加工の過程でほとんど失われてしまうのです。
3.酸化防止剤のビタミンCの目的は、風味を保つため

加熱処理しても、1350mgもビタミンCが入ってるじゃないか! そう思われるかたもいるでしょう。
キレートレモンの原材料を調べると、次のように記載されています。
原材料・・・レモン、砂糖、レモン果皮エキス、レモンペースト(果実、果肉)/ビタミンC、炭酸、香料
市販のジュースには、一年近い賞味期限があります。腐らず、風味も落ちないのには理由があります。酸化防止剤を加えているからです。
実は、レモン飲料に記載されている「ビタミンC」とは多くの場合、この酸化防止剤をさします。
酸化防止剤としてのビタミンCは、化学的に分子の構造を変えた合成ビタミンです。美容効果・健康効果が期待できるのは、あくまで食品から直接摂取する天然ビタミンCのほうなのです。
つまり、市販のレモンジュースを飲むより、自分でジューサーで搾ったほうが、はるかにビタミンCの美容効果を期待できるのです。ジューサーにかければ、細胞壁に閉じこめられていた栄養素も摂取できるからです。
4.ジュースに含まれている砂糖は、むしろニキビの原因となる!
ファストフードに使われている脂分は、アクネ菌の好む皮脂を増やして、ニキビの原因となります。
同じように、皮脂を増加させてしまうのが砂糖です。実は、大量の砂糖って、ニキビの原因になってしまうんです。
キレートレモン155mlのビン1本に含まれている栄養成分を、もう一度確認してみましょう。
- エネルギー・・・105.4cal
- 炭水化物・・・26.6g
- ビタミンC・・・1350mg(=1.35g)
成分表には、糖質と食物繊維の量が記載されていません、表示の義務がないからですね。でも、「炭水化物=糖質+食物繊維」であることを知っていれば、糖質を求めることができます。
総カロリー量(cal)=タンパク質(g)×4+脂質(g)×9+糖質(g)×4
脂質、タンパク質は0gですので、
105.4=0 + 0 + 4x
x=26.35g
世界保健機関(WHO)は、1日の糖類の摂取量は摂取カロリーの5%が望ましいと発表しています。これは、砂糖約25gに相当します。
キレートレモン1本で、1日の糖質の摂取量をすでに越えています。毎日飲んで肌に良いなんて、とんでもない! むしろ、ニキビの原因を作っていることになります。
まとめ
・ビタミンCの栄養素は、加熱処理で失われてしまう。
・ジュースに含まれるのは合成ビタミン。酸化を防ぐのが主目的であり、健康効果や美容効果はうすい。
・ジュースに含まれる砂糖は、むしろ肌荒れの原因となる。
キレートレモンはとても美味しいし、爽快な気分になれます。でも、ニキビに悩まされているなら控えるべきです。ニキビの原因をつくってるだけですよ。