糖質制限の弊害!肌荒れや抜け毛、便秘の原因となる?

炭水化物を抜くことで、気軽にできる糖質ダイエット。短期間で体重が落ちるので、成功したと思いがちです。しかし、「肌が荒れた」「抜け毛がひどい」という声もよく聞きます。糖質ダイエットにはデメリットはないのでしょうか？

糖質制限で落ちたのは脂肪ではない？【減ったのは水分だ！】

ご飯を抜き、糖質を制限すると、確かに体重は減ります。問題なのは、“何が減ったか”です。

私たちのカラダは、常に水分を体外へ排出しています。尿や汗、息を吐くときも、カラダから水分が出てゆきます。出てゆく水分量は、1日におよそ2.3リットル。

失われた水分は、食事から補っています。ご飯やサラダ、みそ汁などから水分を補給しています。ご飯であればおよそ90ミリリットル、パンでも20ミリリットルの水分量があります。精白された炭水化物をとれば細胞内に水分が蓄えられますので、一時的に体重も増えます。

ところが、炭水化物を制限すると、失われた水分を回収するルートが減ることになります。カラダから出てゆく水分はこれまでと変わらないので、体重が減ります。

つまり、糖質制限ダイエットをしても、ほとんど脂肪は減りません。減るのは水分なのです。

水分が減りすぎるのは、決して良いことではありません。

そもそも、糖質にはどんな役割があるのでしょうか？

糖質は、脳や筋肉を動かすエネルギー源です。体内に取りこまれた糖質が分解・吸収されると、ブドウ糖に変換されます。ブドウ糖がないと、脳が働くことができません。

そこで人間の身体は、

① 肝臓や筋肉に貯蔵されているグリコーゲンを分解し、ブドウ糖を作り出そうとします。

② グリコーゲンは水分と結合した状態で蓄えられているため、分解時に水分が出ます。水分はそのまま体外へ排出されます。

これが、糖質制限で体重が減るメカニズムです。

ブドウ糖は脳だけでなく、中枢神経や筋肉を動かすためにも必要です。もし、肝臓にあるグリコーゲンを使い切ってしまったら・・・今度は、筋肉を分解してエネルギー源を確保しようとします。

登山やマラソンなどハードなスポーツを行なうと、はげしく筋肉が痛むことがあります。あれは、エネルギーとなる糖質が不足したため、筋肉中のタンパク質で代用しているのです。

しかし、タンパク質は本来、筋肉や内臓、皮膚、髪の毛、骨など元となる栄養素。このため、糖質制限すると皮膚や髪の毛までタンパク質がまわらなくなり、肌荒れや抜け毛につながってしまうのです。

そもそも筋肉が減ると、基礎代謝量も落ちてしまいます。つまり、痩せにくいカラダになってしまうのです。

※「基礎代謝量」とは、体温維持や呼吸など生命活動を維持するために、カラダが消費するエネルギー量のこと

食物繊維は胃や腸で吸収されずに、小腸を通って大腸まで達する成分。腸を刺激して、便通をよくしてくれます。

ご飯など炭水化物は、糖質と食物繊維からできています。炭水化物を摂らないということは、単純にそのぶんの食物繊維も不足してしまうことになります。

また、食物繊維には血糖値の上昇を抑制する効果もあります。ご飯を食べると血糖値が上がりやすいというイメージがあるかもしれませんが、もともと食物繊維を含んでいますから、急激に血糖値が上がることはありません。

エネルギー源として糖質が不足している場合、中性脂肪を分解し、脂肪酸をエネルギー源とすることもあります。このとき、副産物としてケトン体という物質が生成されます。このケトン体が血液中にたまると、汗や尿として体外に排出されるときに酸っぱいニオイを放ちます。

これが、口臭や体臭となる場合があります。

本来、糖質は脳や身体を動かすのに燃費の良い燃料です。糖質が足りない場合、代替エネルギーとして使われるタンパク質や脂肪酸は、“エネルギー効率の悪い燃料”です。だから糖質制限を行なうと、イライラしたり不眠になってしまうのです。

減量だけが目的になってはダメです。「痩せること＝健康上のリスクを減らすこと」でなければ、意味がありません。

ご飯はエネルギー効率がよい（＝脂質の割合が低い）ので、むしろしっかり食べたほうが燃えやすい身体を作ってくれます。体に対する悪影響が多い白砂糖・小麦粉製品を抜いたほうが、よっぽど健康的に痩せることができます。