仕事中だろうが授業中だろうが、おかまいなし! “突然の下痢”ほど、困るものはありません。
下痢のおもな原因としては、ストレスや腸の不調、ノロウィルスなどが挙げられます。しかし、これらが思い当たらないとしたら、意外な食べ物が関係しているかもしれません。小麦粉です。
下痢をともなう腹痛の原因?小腸が分解吸収しにくい糖がある!
たくさん食べ過ぎたとき、腸で消化しきれずお腹をくだしやすくなる、というのはイメージしやすいでしょう。
ところが、食べ過ぎている訳ではない、むしろ体に良いものを食べているのに下痢に悩まされる人がいます。こういう人は、ある栄養素に弱い体質である可能性があります。
それが、乳糖やフルクタンという栄養素です。
フルクタンも人によっては小腸で分解しづらいため、消化吸収されずに大腸に届いてしまうと、下痢を引き起こすことがあるのです。
過敏性腸症候群とFODMAP(フォドマップ)
胃や腸に異常が見られないのに、慢性的に腹痛を感じる状態を「過敏性腸症候群」(IBS)といいます。症状としては、耐えきれないほどの腹痛に突然おそわれ、排便したあとは何事もなかったかのように戻ります。
突然の腹痛は、過敏性腸症候群かも? 控えたほうが良いFODMAP(フォドマップ)食とは?
過敏性腸症候群の原因と考えられるのが、“糖による下痢”です。おなかが弱い人の中には、小腸で糖の一部を分解できず、大腸まで糖類がやってくることがあります。
本来、糖は大腸で処理する成分ではありません。このため大腸は混乱して、水を出してしまい、これが下痢の原因となるのです。
オーストラリアのピーター・ギブソン医師は、大腸のはたらきを狂わせてしまう糖類を含んだ食品のリストを作りました。それが、FODMAP(フォドマップ)です。
Fは、“発酵性の”(Fermentable)を意味する形容詞。Oは、小麦粉や大豆などのオリゴ糖グループ。Dは単糖が2つくっついた二糖類で、牛乳やヨーグルトなど。Mは単糖類で、果物やはちみつなどが入ります。
そして(And)、Pは多糖類の一部で、キシリトールなどの人工甘味料やきのこ類を指します。
過敏性腸症候群の人がひかえるべきFODMAP(フォドマップ)食 | ||
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オリゴ糖(フルクタン) | Oligosaccharides | きな粉、ごぼう、小麦、玉ネギ、納豆、アスパラガスなど |
二糖類(乳糖) | Disaccharides | 牛乳、ヨーグルトなど |
単糖類(果糖) | Monosaccharides | りんご、梨、びわ、はちみつなど |
ポリオール(ソルビトール、キシリトールなど) | Pokyols | マッシュルーム、キシリトールなどの人工甘味料 |
表を見て驚かれるかたも多いかもしれません。これらの食品は、一般的には“体に良い”とされる食品ばかりだからです。
FODMAP(フォドマップ)食が下痢を起こすメカニズム
フォドマップ食を摂取すると大腸で吸収されずに残り、腸内細菌のエサになります。
⇨ 腸内細菌はエサを食べた後、「短鎖脂肪酸」という有機酸を生みだします。このように、糖を分解して酸を生みだすプロセスを“発酵”と呼びます。
⇨ 腸内細菌はフォドマップ食品を発酵するために、大量のガスを作り出します。
⇨ ガスがたまると、「お腹が張って苦しい」「お腹がゴロゴロする」状態になります。
⇨ 発酵されずに残ったフォドマップ食は、腸の粘膜にはたらきかけ、水分を出してしまいます。
⇨ 便の水分割合が増加して、下痢を引き起こします。
「腸内環境を良好にし便通を改善する」ことが認められた機能性表示食品下痢をともなう腹痛の大きな要因?加工食品の小麦粉
FODMAP食品の中でも、過敏性腸症候群の人がもっとも気をつけたい食品が小麦粉です。
ひとくちに FODMAP食品といっても、きな粉やびわ、マッシュルームを毎日のように食べる人はいないでしょう。しかし、小麦粉は違います。
- 食パン
- パスタ
- 焼きそば
- うどん
- ラーメン
- たこ焼き
- クッキー
- ケーキ
ラーメンやうどん、パン、全粒粉、ちくわぶに天かす、白ビールまで。ホットケーキやカロリーメイトだって、小麦粉の加工食品です。
わたし自身、原因不明の腹痛に悩まされていましたが、小麦粉が原因だとは思いもよりませんでした。
しかし、テニスプレイヤーのジョコビッチ選手の本を読んで、ハッとさせられました。小麦粉には腸の消化に良くないフルクタンばかりか、小腸の粘膜を傷つけてしまうグルテンも含まれていたのです!
免疫系をつかさどる腸のはたらきが良くないと、肌荒れを起こしやすくなります。現にわたしは、突発的な腹痛だけでなく、大人ニキビにも悩まされていたのです。
そこで、パスタ、たこ焼き、菓子パンなど小麦粉製品を食べないようにしてみました。すると、突然の腹痛に襲われることがなくなったのです。
小麦粉を徹底的に食べない“グルテンフリー生活”を続けてから、2年後。
試しにインスタントの焼きそばを食べたら、気も狂わんばかりの腹痛に襲われました。
まとめ
すべての人にとって小麦粉製品が悪い、とは断言できません。NHKの生活情報番組『ためしてガッテン』で紹介されていたように、糖の吸収分解が苦手かどうかは体質によるからです。
急な下痢や腹痛に襲われるけれど原因がはっきりしないという人は、試しに小麦粉製品を抜いてみると良いかもしれません。