薄毛になったり、フケが大量発生したり・・・髪のお悩みは、男性に限らず女性にとっても深刻です。そんな薄毛やフケを、食生活の見直しで改善することができます。カギとなるのは、血行をよくする食べ物・皮脂の量を調整してくれる食べ物です。
まずは、薄毛やフケの原因を見極めることが大事!
薄毛やフケとなるには、いくつかの要因が考えられます。まずは、ご自分の薄毛やフケがどんな原因で起こっているのか見定めることが、改善の近道となります。
1.血行不良
髪の毛は、毛乳頭(=髪の毛の根元にある、くぼんでいる部分)にある毛細血管から、栄養素を受け取って成長します。血の巡りが悪くなると、じゅうぶんに栄養を補充できなくなり、髪の毛は抜けやすくなります。
2.頭皮のコリ・緊張
1とも関連しますが、頭皮がカチコチに固まり、頭蓋骨(ずがいこつ)と頭皮のあいだの血管を圧迫することがあります。こうなると、髪にじゅうぶんな栄養が行き届かなくなります。肩や首がこりやすい人は、頭皮も硬くなりやすい傾向にあります。
3.頭皮環境の乱れ
皮脂の異常分泌により、毛穴が詰まったり頭皮に炎症が起こったりします。すると、髪の毛の成長が阻まれてしまいます。髪の毛を洗わなかったり、逆に洗い過ぎても皮脂の量は乱れます。洗浄成分が強すぎるシャンプーを使っていないか、見直す必要があります。
4.AGA(男性型脱毛症)
男性ホルモンの一種であるテストステロンが、頭皮にある5αリダクターゼという酵素と結びつくと、ジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンに変化します。この成分は、毛乳頭にある毛母細胞のはたらきを弱めてしまいます。AGAを発症している場合、特に生え際や頭頂部に脱毛の進行が現れます。
5.紫外線
日焼けが顔のお肌に良くないことは、いまや周知の事実。しかし、忘れがちですが、頭皮もお肌の一部です。長年に渡って紫外線対策を怠っていると、頭皮の老化を早め、1の「血行不良」や2の「頭皮のコリ」に繋がってしまいます。
4「AGA(男性型脱毛症)」が薄毛の原因の場合、まずはクリニックなどで男性ホルモンを抑制する飲み薬を処方してもらう必要があります。
薄毛・フケに効くおすすめの栄養素と食事 早見表
薄毛を解消し、フケを減らすために積極的に摂りたい食べ物をまとめました。髪の主成分となるタンパク質、栄養素をはこぶビタミン、酵素「5αリダクターゼ」を抑えるイソフラボンなどを過不足なく食べることが大切です。
栄養素 | はたらき | おもな食品 |
タンパク質(シスチン) | 髪の主要成分「ケラチン」を作る | 卵、小麦、魚介類(にしん、いわし、ほたて、いか)、ブロッコリー、にんにく |
タンパク質(メチオニン) | 髪の主要成分を体内で合成できる | 卵、魚介類(鮭、マグロ、シラス、いわし、かつお)、鶏のムネ肉、豚ロース、納豆、豆腐 |
ミネラル(亜鉛) | 髪の毛の発育を促し、5αリダクターゼを抑える | 牡蠣(かき)、レバー、しじみ、チーズ、そば、納豆、パセリ、アーモンド、くるみ |
ミネラル(ヨウ素) | 新陳代謝を高め、髪に栄養を行き渡らせやすくする | 海藻類(わかめ、ひじき、海苔)、オクラ、山芋 |
ビタミンA | 乾燥を防ぎ、頭皮環境を整える | レバー、うなぎ、鮎、海苔、人参、ほうれん草、モロヘイヤ、かぼちゃ |
ビタミンB2 | 皮脂の過剰分泌を抑え、皮膚や髪の再生を促す | サケ、マス、豚肉、味噌、海苔、卵、まいたけ |
ビタミンB6 | アミノ酸の代謝を促し、髪の生成を助ける | かつお、まぐろ、レバー、にんにく、バナナ |
ビタミンC | 毛根のコラーゲン生成を助ける | ケール、煎茶、ピーマン、ブロッコリー、キャベツ、じゃがいも、イチゴ |
ビタミンE | 毛細血管を広げ、血行をよくする | 植物油、アーモンド、くるみ、アボカド、たらこ |
イソフラボン | 女性ホルモンと似たはたらきがあり、男性ホルモンを弱める | 納豆、豆腐、油揚げ、きな粉 |
オメガ3脂肪酸 | 頭皮や髪の毛をすこやかにする | えごま油、いわし、さんま、サバ |
カプサイシン | 頭皮の血行をよくする | 唐辛子 |
リモネン | 5αリダクターゼを抑え、毛根を強くする | みかん |
タンパク質
タンパク質は、生命活動にとって最もたいせつな栄養素のひとつ。内臓や筋肉、皮膚や骨、歯、そして髪の毛など、カラダの器官はタンパク質からできています。
わたし達のカラダは、必要な臓器にまっさきに栄養素を行き渡らせます。つまり、心臓や脳など、生命維持に不可欠な器官にタンパク質を届けます。極端な話、髪の毛がなくても人間は生きることができます。タンパク質の摂取量が少なければ、優先順位の低い髪の毛には栄養が届かないことになります。
女性などがダイエットを続けると、髪がツヤを失うのはこのためです。各種臓器に栄養を届けることが優先されるため、髪にまで栄養が回らなくなるのです。
シスチン
髪の毛の90%近くは、「ケラチン」というタンパク質からできています。このケラチンは18種類のアミノ酸から構成されますが、特に髪の毛に多い成分が「シスチン」です。
タンパク質とは、アミノ酸が鎖のように結合した物質のことです。この結合の仕方によって、さまざまな臓器が作られます。
アミノ酸にシスチンが含まれると、タンパク質に硬さと柔軟性が備わり、健康な毛髪やツメが構成されることになります。髪にツヤやコシを与えてくれる栄養素です。
メチオニン
シスチンと同じように、髪の主成分であるケラチンを作るのに必要なアミノ酸です。シスチンが体内で生成できる成分なのに対して、メチオニンは体内で作ることができない成分(=必須アミノ酸)です。
メチオニンは、食材から摂取する必要があります。卵や大豆、豚肉、鮭やイワシなどに多く含まれています。できるだけ、毎食1種類は摂りたいタンパク質です。
ミネラル
ミネラルとは、岩石や土などに含まれる無機質の成分のことです。わたし達の臓器を円滑に動かために不可欠な成分ですが、体内で作り出すことはできません。
髪の毛に関していえば、ミネラルのおかげで栄養素を行き渡らせることができます。
亜鉛
亜鉛は、タンパク質と合わせて摂取することで、髪の成長と発育を促してくれます。
AGA(男性型脱毛症)を治療するには、まずはクリニックに相談して、男性ホルモンを抑制する飲み薬を処方してもらう必要があります。
食べ物の中にも、5αリダクターゼのはたらきを抑えて、脱毛の進行を遅らせるものがあります。その中のひとつが、亜鉛です。牡蠣(かき)やナッツ類に多く含まれています。
ヨウ素
わたし達ののどぼとけの辺りに、甲状腺という器官があります。ここで作られる甲状腺ホルモンには、血液の流れに乗って全身の細胞にはたらきかけ、新陳代謝を活発にする役割があります。
甲状腺ホルモンが円滑にはたらけば、健康な髪や皮膚を作ることができます。このホルモンの材料となるのが、ミネラルの一種、ヨウ素です。
ヨウ素は、昆布やワカメなどの海藻類に多く含まれます。ただし、ヨウ素は過剰摂取しても、甲状腺の機能を弱めてしまいます。特に昆布は含有量が多いので、食べ過ぎには注意が必要です。
ビタミン
ビタミンには、他の栄養素のはたらきをサポートし、カラダの機能を調節・維持する作用があります。
ビタミンA
不足すると頭皮の皮脂腺や汗腺があっ縮され、皮脂や汗の分泌量が少なくなりすぎ、乾燥を招いてしまいます。
しかし、摂り過ぎは厳禁!
頭皮が硬くなり、栄養障害をもたらすことがあります。過剰摂取は逆に脱毛につながります。レバーは栄養価がとても高い食品ですが、毎日のように食べると、ビタミンAの過剰摂取となります。
ビタミンB2、ビタミンB6
ビタミンB2は、皮脂の異常分泌を抑え、フケの大量発生を防いでくれます。また、頭皮の毛細血管を丈夫にしてくれます。
ビタミンB6は、亜鉛のはたらきをサポートし、髪の主成分ケラチンの合成を手助けします。髪の成長に直接関わるので、積極的に摂りたい栄養素です。
ビタミンC
髪の毛の根っこにある毛包幹細胞がなくなり、毛穴が閉じてしまうと、髪の毛は成長できなくなってしまいます。薄毛の改善には、この根っこを維持することが大切です。
そのためには、毛根のコラーゲンが必要です。コラーゲンを合成するのに必須なのが、ビタミンCです。
ところが、ビタミンCには多岐に渡る役割があります。しみを防いだり、ストレスや風邪に対する抵抗力を強めたり、抗酸化作用でカラダのサビを防いだり・・・にも関わらず、ビタミンCには安定性がなく、長く体内に留まってくれません。
ですので、なるべく積極的にビタミンCを補給する必要があります。食事の際、野菜類を食べるのはもちろんですが、含有量の高い緑茶をこまめに飲むのがおすすめです。
ビタミンE
ビタミンEには赤血球が壊れるのを防ぐ作用があります。血管を健康に保つことができれば、髪の生育に必要な酸素や栄養分を、頭皮までしっかり届けることができます。
また、ビタミンEには抗酸化作用があります。活性酸素から体を守り、細胞の老化を防いでくれます。ヒマワリ油、ベニバナ油などの植物油、ナッツ類に多く含まれます。
イソフラボン
特に、薄毛に悩む女性におすすめなのが、大豆イソフラボンです。
女性は、出産後のホルモンバランスの変化や加齢とともに、女性ホルモンが減少してゆきます。代わりに男性ホルモンが優位になると、薄毛・抜け毛の原因となってしまいます。
そこで有効なのが、イソフラボンです。イソフラボンは、大豆の胚軸(成長すると芽になるところ)に含まれる抗酸化物質。化学構造が、女性ホルモン「エストロゲン」にそっくりで、女性の美しさ・若々しさの維持をサポートしてくれます。
イソフラボンには、抜け毛の大敵・5αリダクターゼを抑える作用もありますので、大豆食品は男性にも有効です。
オメガ3脂肪酸
体内でグリセリンと結びつき、中性脂肪のもととなる脂質のことを脂肪酸と呼びます。この中で、特に体に良いとされるのが、いわし、さばなどの青魚や、えごま油・亜麻仁油に多く含まれるオメガ3脂肪酸です。
イワシやサバなどに含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)には、悪玉コレステロールを減少させ、血液をサラサラにする効果があります。
オメガ3脂肪酸は熱に弱く、焼き魚にしてしまうと脂分がとんでしまいます。手軽に摂取したいなら、イワシ缶・サバ缶などを1日一缶、食卓に並べるのがおすすめです。
カプサイシン
亜鉛と同じように、5αリダクターゼを抑えてくれる栄養素が他にもあります。そのひとつが、唐辛子(とうがらし)の辛味成分であるカプサイシンです。
カプサイシンは、頭皮を柔らかくして血流をよくする作用があります。育毛剤にもよく配合されている成分です。
ただし、辛い物の摂り過ぎは胃腸のはたらきを悪くします。腸内の悪玉菌が増えると、皮脂の異常分泌につながり、頭皮環境に悪影響を与えます。過剰摂取はおすすめできません。
リモネン
みかんの皮に含まれるリモネンという成分にも、5αリダクターゼを抑制する作用があります。
リモネンには、交感神経を活性化させ血流をよくするはたらきがあります。また、動物性脂肪を分解する作用もあります。これによって、頭皮に詰まった汚れや汗を取り除き、育毛環境を整えてくれます。
まとめ
タンパク質、ビタミンC、イソフラボンなどをバランスよく摂取することで、抜け毛やフケの大量発生を抑えることができます。
ただし、食生活の見直しが実際に効果として現れるのは、2~3か月あとです。