赤みの残るニキビや、茶色いシミになったニキビ跡。いっそのこと、こんがり日焼けしてしまえば目立たなくなるかも・・・そんなことを思っていませんか?この考えは絶対に間違っています。
この記事では私自身の経験と、日焼けがお肌に与える悪影響のメカニズムをご紹介します。
わたしが経験した、日焼けとニキビ跡
人生をやり直せるなら、「ニキビができる前に戻りたい」と思ったことはないでしょうか? もし人生を巻き戻せるなら・・・私なら、初めてニキビができた中学生の頃より、真っ黒に肌を焼いてしまった大学時代に戻りたいと思います。
それぐらい、日焼けは私の人生をメチャクチャにしました。
ニキビを隠したい、ごまかしたい高校生のころ
私がニキビに悩まされるようになったのは、中学3年の頃。もともと荒れやすい肌質も影響し、高校生になると顔中にニキビができるようになります。
当時は『ニキビは青春のシンボル』と言われていて、家族や親せきなどは「大人になれば自然に治るさ」などと楽観的に考えていました。
しかし、当の私は気にしていて、暇さえあれば鏡を見ていました。大きな白ニキビができれば、少しでも目立たぬように潰していました(⇦ 潰すのは絶対ダメ!)。
ニキビ跡を日焼けで隠せる、かん違いしていた大学のころ
大学の頃になると、ニキビは一時的におさまり、わずかに赤みや茶色いニキビ跡が残るだけとなります。若い頃はちょっとのニキビ跡でも気になるもので、鏡を見ると憂うつになると感じた私は、短髪にしてイメチェン!できるだけ鏡を見ないで済むようにします。
外交的になり、積極的にアルバイトに精を出すようになった私は、ある遊園地で接客のお仕事をするようになります。
海に面した遊園地で、晴れの日は日光がガンガン当たります。夏場なら、あっという間に顔が真っ赤になるほど、日差しの強い職場でした。
今なら、わかります。ニキビ症の人間が働く場所ではない、と。ところが、当時はネットも発達していないし、ニキビに関する知識もほとんど持っていませんでした。
「日焼けしてニキビが目立たなくなれば、ラッキー!」
などと、バカな事を考えていたのです。確かに、真っ黒に焼けているときは、ニキビ跡は目立たなくなります。一時的に女の子にもモテることもありました。
しかし!! この時の日焼けのおかげで、のちに地獄の苦しみを味わうことになったのです。
日焼けは、凸凹ニキビ跡の原因に
遊園地のバイトを辞め、大学を卒業したあたりから、わたしの肌は荒れに荒れまくります。新しいニキビが次々にでき、赤みや茶色いシミだったニキビ跡はいつの間にか凸凹したクレーター状態になってゆきます。
どうして良いか自分でもわからず、ニキビ化粧品をいろいろと試しては、悪化させる日々。外出するたびに気持ち悪がられ、絶望の日々。他人と目をみてまともに会話することさえ、できなくなってしまいます。
ニキビに関してたくさん勉強した今ならば、わかります。日焼けがニキビ跡を悪化させたばかりでなく、肌のバリア機能も弱めてしまったと。
日焼けがニキビ跡になるメカニズム

ニキビ跡は、赤み ⇨ 茶色いシミ ⇨ 凸凹のように段階を追って、治りにくくなります。ニキビ症の人が日焼けをすることは、ニキビ跡を重症にしてしまうことと同じです。そメカニズムを説明します。
赤みのニキビ跡は、炎症の定着
ニキビができてアクネ菌が繁殖すると、皮膚細胞はダメージを受けます。このとき、患部に毛細血管が集まります。
細胞を治そうと栄養素を送りこむため、血管がひらきます。このため、血流が皮膚からすけて赤く見えるようになります。
通常であれば、炎症は時間とともに収まり、赤みも消えます。ところが、皮膚の深部にヘモグロビンが留まってしまうと、赤みが残ってしまうのです。
茶色いシミは、メラニン色素の沈着
ニキビが炎症を起こすと、人間のカラダは活性酸素を生み出します。この活性酸素は、本来なら体内に侵入したウィルスや細菌をやっつけてくれます。ところが、過剰に分泌されると、正常な細胞までも傷つけてしまいます。
細胞が破壊されるのを防ぐために、表皮からメラニン色素が生み出されます。メラニン色素は攻撃力の強すぎる活性酸素をやわらげてくれます。役目を終えたメラニン色素は、体外に排出されます。
ところが、ターンオーバーがうまくゆかないと、メラニン色素が肌の深部に沈着してしまいます。これが、茶色いシミタイプのニキビ跡です。火傷や虫刺されの痕、日焼けでシミができるのと同じメカニズムです。
つまり、ニキビ跡(=色素沈着)がある状態で日焼けをする(=色素沈着)ということは、色素沈着の原因を二重に作ることになるのです。
紫外線は、バリア機能低下と乾燥をまねく
なぜ、日焼けが悪なのか? それは、紫外線が肌をヤケドさせてしまうからです。
肌の表面には、角質と皮脂膜があり、水分の蒸発を防いでいます。いわば、天然の保湿剤が備わっています。ところが、紫外線を浴びてチロシン(=アミノ酸の一種)が酸化すると、保護膜のはたらきを弱体化させてしまいます。人間のカラダが本来もっているバリア機能を弱めてしまうのです。
具体的に見てゆきましょう。
紫外線は、波長の長さによって分類されます。紫外線A波(UVA)、紫外線B波(UVB)、紫外線C波です。このうち、C波はオゾン層で食い止められますので、私たちの肌にダメージを与えるのは、A波とB波です。
紫外線A波(UVA)・・・シワやたるみ
紫外線A波は、波長が長く、肌の深部にある真皮にまで届きます。日焼けするほど強烈な光ではないものの、線維芽細胞(せんいがさいぼう)を傷つけてしまいます。
線維芽細胞とは、肌に弾力やハリを与えるコラーゲンやヒアルロン酸を生成する場所。ここがダメージを受けると、シミやしわとといった老化現象(=サビつき)につながります。
紫外線B派(UVB)・・・シミ、日焼け
波長が短く、肌への影響は強い。真皮までには達しないものの、表皮を傷つける。短時間あびただけでも、赤い炎症を起こしたり、黒い色素沈着を招いたりします。
特に、クレータータイプのニキビ跡に影響があるのが、紫外線A派です。炎症が真皮まで届いてしまうと、患部の周りの組織が固まってしまいます。
修復できた所とできなかった所の差が、凸凹となってニキビ跡となります。特に爪などで潰した箇所、大きな炎症ができた箇所は、のちのち目立つようなクレーターとなる可能性が高まります。
まとめ
大きなニキビ跡がわたしの顔に残るようになったのは、次の経緯がありました。
① 白ニキビ・赤い炎症ニキビが目立つのが嫌で、潰してしまったことがある。
② 日焼けをすれば「ニキビを隠せる」とかん違いし、炎天下の中、日焼け止めクリームも塗らなかった。
③ ニキビ跡は凹凸が目立つようになり、肌は刺激に弱くなった。
日焼けをすれば一時的にニキビ跡は目立たなくなりますが、いずれ大きなダメージとなってはね返ってきます。日焼けをしては絶対にダメです。私と同じ苦しみを味わう人が少なくなりますように。